鏡は、その鏡を映すことはできず、
歯ブラシは、その歯ブラシをみがけない。
体重計は、それ自身を量れず、
タオルも、それ自身を拭けない。
私の目は、直接この目を見ることはできず、
私の右手は、その右手を握れない。
世の中のものは、
だいたいそういうふうになっている。
誰も乗っていない、朝の電車のなかで、
そんな当たり前のことを考えていたら、
やがて扉が閉まって、
今日も電車は動き出した。
歯ブラシはその歯ブラシをみがけない
2022年7月26日
鏡は、その鏡を映すことはできず、
歯ブラシは、その歯ブラシをみがけない。
体重計は、それ自身を量れず、
タオルも、それ自身を拭けない。
私の目は、直接この目を見ることはできず、
私の右手は、その右手を握れない。
世の中のものは、
だいたいそういうふうになっている。
誰も乗っていない、朝の電車のなかで、
そんな当たり前のことを考えていたら、
やがて扉が閉まって、
今日も電車は動き出した。