いろいろなことを思い出せないまま生きる

幼稚園の頃の、ある出来事を
いまでもよく覚えている。
小学生のときの、些細な一場面も
いまでもよく覚えている。
中学生や高校生の時のある感動や後悔を、
いまでもよく覚えているし、
大学生のときの自分の醜さも、よく覚えている。
でも、まだまだ、思い出し足りない。
嬉しかったことも、後悔していることも、
すべて記憶のなかにあるはずだが、
でも、なかなかその全てを、
思い出すことができない。
私は、たぶん38歳くらいから、
昔を思い出せないという鬱屈を
乱暴に無視するようになった。
でも本当は、その鬱屈を
抱え続けなくてはならない。
鬱屈がないから、傲慢になるのだ。






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