わりと身近にある地獄

言語は互いに共通のものを使っているのに、
その言葉の意味が通じない状況は、地獄だ。
もし地獄についての物語を書くならば、
そこでは、同じ言語が使われてはいても、
それが通じていないという状況を描けばいい。
論理が無視されて、知識も軽視されて、
思いやりが侮辱されて、
ただ武勇伝のような話が繰り返され、
それなのに、なぜかそこにいる人々は
「愛」などといった言葉を好む。
そんな世界が、地獄だ。
言語は理解されているのに、
その中身が通じないことほど
人を戦慄させるものはない。
それは、わりと身近にある地獄だ。










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