朝は匂いが少ない時間

休日なのに、朝6時に起きた。
外を歩きたいのだけれど、
あまり人を見たくないし、
人に見られたくもなかったので、
逃げるように早起きをした。
目的もなく歩き始めたら、
ガソリンスタンドの前に来た。
早朝のガソリンスタンドは、何かが違った。
だが、いつもと何が違うのだろう。
人がいない
車がいない
だがそれだけではない。
そう、ガソリンの匂いがしないのだ。
朝早くの街は、匂いがしない。
人の匂いがしないし、
車の匂いもしない。
あるのは、薄っすらとした空気だけ。
朝は、何かの音とか、声とか、視線とか、
そういうもの以前に、
匂いが少ない。
匂いが希薄だから、朝は心地よいのだ。






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