冬の、晴れた日の、図書館

冬の、晴れた日の、図書館が好きだった。
20代のときは、いつも図書館にいた。
他に居場所がなかったというのもあるけれど、
大学の図書館はとても居心地がよかった。
特に、冬の、晴れた日、
雪が積もって、外は一面が真っ白だけれど、
でも空は青く晴れわたっているような、
そんな日の図書館は最高だった。
雪が太陽の光を反射して、
ものすごく眩しい。
猛烈に眩しいのだけれど、
その眩しさは、なんだかとても冷静で、
時間の流れをゆっくりにするような、
そんな、不思議な眩しさだった。
窓からそうした雪景色が見える図書館で、
好きなだけ本が読めた。
天国とはこんなところなのではないのかと、
本気でそう思った。
図書館から眺めた、あの雪の眩しさを、
生涯忘れることはないだろう。







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